在来工法やプレハブ工法、2×4工法などという言葉を耳にしますが、どういう工法ですか? またこれ以外にもよく使われる工法がありましたら教えてください。

【○○工法】とは一般的に、屋根や壁・床を支える「構造」の作り方を示します。工法の分類にはいくつかの分け方があります。

(1) 作り方による分類
…工場で材料の加工を行い現場では主に組み立てをするプレハブ工法とそれ以外に分けられる。

(2) 主要な材料による分類
…木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造・石・ブロック・レンガ等の組積造等。以上の分類があり、プレハブ造の場合は材料的には木質系・鉄骨系・コンクリートパネル系等に細分されます。

住宅は古代より、その土地の気候や風土に一番適した構造・材料で作られてきた歴史がありますが、国際化時代においてさまざまな外国の建築様式が導入されています。その一例が北米を中心に開発された2×4工法です。家を建てる場合の条件として、敷地の形状、家族構成、家族の嗜好、気候等を良く整理し、一番適した工法を選択することが大切です。

----------主な工法の特徴----------

【在来工法】
木造軸組構造を伝統的技術で組み立てのため設計・施工の自由性は高いが、熟練した現場技能者を必要とする場合がある。

【プレハブ工法】
工場で基本部分を製作し品質管理面で安定したものが期待できるが、極端な最小敷地では平面(間取り)が規格の制限で施工ができない場合がある。

【2×4工法】
木質系のパネル工法で構造は合理的で安全性の評価は高いが、壁で屋根・床を支える構造のため、やや壁の量が多く必要。また増改築等、後の間取り変更に制限がある。

『月刊ぷらざ2000年9月号掲載』回答:米田雅夫(JIA会員)

6 月 13, 2005 カテゴリー: 工法 | | コメント (0)

最近住宅に、高断熱・高気密住宅が良いとよく聞きますが、どうしてなのでしょうか?また一般の住宅でも必要なのでしょうか。もし工事をするとしたらコストはどのくらいかかるのか教えてください。

第一に高断熱住宅とは、暖房や冷房を運転する期間の熱エネルギーの利用効率が高い住宅のことです。
第二に高気密は、高断熱にすることによりおのずと気密は高くなります(相当隙間面積2c㎡~3c㎡) 

ただ、気密性だけを高めることはホルムアルデヒドを含む建材や接着剤の使用により、シックハウス症候群・結露・ダニ等の多発しやすい欠点も出てきます。

この点において、快適性・健康性を確保するためには計画換気システムを取り入れることが重要です。冷暖房を使用しない時期は、窓を開放して空気の入れ替えを心がけることが大切です。

また一般住宅に必要かについては、内部空間を大きくとり、吹き抜けを設けても高気密・高断熱仕様の場合、内部の温度・湿度の一定化で快適性・健康性の確保は従来の建物よりもはるかに高くなります。コスト面も一般住宅の2~3割増くらいで可能です。

『月刊ぷらざ2000年10月号掲載』回答:笹澤智治(JIA会員)

6 月 13, 2005 カテゴリー: 工法 | | コメント (0)

外断熱工法の特長とコスト面も含めて教えてください。

建物の断熱性能を向上させるには、性能の良い断熱材で建物を覆う必要があります。その方法として従来は、外部に面する媒体(柱、外壁、屋根等)の内側で覆ってきました。ヨーロッパでは1970年代始め、断熱材を媒体の外側で媒体ごと覆うことが、省エネ対策として一般化してきました。このように外部に面する媒体の外側に断熱材を入れ、媒体ごと覆う方法が「外断熱工法」です。

特に鉄筋コンクリート造やブロック造等、暖まりにくく冷めにくい蓄熱体として利用できる材料で、媒体を作る建物の場合には、外断熱工法が省エネ・室内快適環境に優れた効果を発揮します。

またこの工法は媒体ごと断熱材で覆うため、外気温変化や雨水の浸入による媒体の劣化を低減させ、耐久性を高めます。木造の場合には、材木が蓄熱体として期待できませんが、軸組の外側を断熱材で覆った方が、設備配管やボックスに当たる断熱材の欠き込みが少なく確実な断熱工事が出来ます。

イニシアルコストは、高断熱高気密工法が前提となりますが、
鉄筋コンクリート造で工事単位面積当たり3.000~7.000円/㎡(耐火構造)、
木造は2.000円/㎡程度
の金額増で工事可能です。

耐火の必要のない42坪程度の住宅では50~75万円/戸の割り増し工事費が必要と考えればよいでしょう。いずれにせよ、効果の著しい鉄筋コンクリート系の建物では、外断熱工法が21世紀の断熱の主流になるでしょう。

『月刊ぷらざ2001年3月号掲載』回答:唐沢勉(JIA会員)

6 月 13, 2005 カテゴリー: 工法 | | コメント (0)

雨水利用を住宅で使用したいと考えていますが、どのようにしたら良いでしょうか?

敷地に降り注ぐ雨を活用することは、これからの時代、一人ひとりが、環境を大事に生活していくことです。雨水利用を実践していかれることを嬉しく思います。
建物の屋根等へ降る雨は、汚れも少なく貯めて使用すれば、水源として有効活用ができます。簡単な方法は雨水取出し口を、既存の雨樋の途中に設置することで、雨水などを使って手軽に雨水利用を始めることができます。

「雨水貯水タンク」という既 製品もあります。現在、各行政においても雨水利用に関して補助金制度が整いつつあります。貯留タンク設置の補助金も出る市町村もありますので活用してはいかがでしょうか。

また、少し大きな設備になりますと、ゴミをフィルターで取り除いた後、建物 の基礎等を利用した水槽やタンクに貯水して、ポンプアップしてトイレの洗浄や植木の水やり、洗車などにも利用できます。雨水利用は水資源を節約できるだけでなく、 非常時の貯留槽にもなります。
一歩進めて、地域の住民全体の防災用水としての「まちづくり」が実践されること を願います。
『月刊ぷらざ2002年9月号掲載』回答:荘司由利恵(JIA会員)

6 月 13, 2005 カテゴリー: 工法 | | コメント (0)

既存のコンクリート造りの住宅でも外断熱工事は可能ですか?

既存の建物でも外断熱工事は勿論可能です。外断熱は建物の外側を断熱材で覆い、外部からの熱伝達を断つ断熱工法ですから次のような場合には注意が要求されます。

  1. 建物に庇やバルコニー等の外部突起がある
  2. テラスや犬走り等コンクリート製の 土間が建物に接している
  3. サッシやドア及びそれらに組込まれているガラスが非断熱である。

1の場合これら外部突起からの熱伝達を防ぐ必要があります。
外部突起を 断熱材で覆い仕上げれば良いのですが、施工面積の多さや工法上の難しさを伴い、費用対効果の点でも効率的ではありません。
このような外部突起は撤去して熱が伝達しないように再構築することが好ましいのですが、室内結露を防ぐことに限定すれば外部突起が接する室内面を断熱することでも対応出来ます。この場合、困難なのは建物外周部の土に埋もれた部分の断熱です。外部土間を一部解体してでも土中建物外周 部の断熱はお勧めします。
土には断熱性能があり地表から80センチ程度の深さを超え れば断熱の必要はありません。したがって土中建物外周部の断熱を行えば、土に接している一階床下の断熱は不要です。

3は結露防止のためにも断熱サッシや断熱ドアへの取り替えが必要です。その場合、コンクリートに固定されている枠は残し、その内側に断熱サッシを組み込めます。

『月刊ぷらざ2002年11月号掲載』回答:唐澤勉(JIA会員)

6 月 13, 2005 カテゴリー: 工法 | | コメント (0)